Early Kestner Dome Head

輝く瞳を持つ初期ケストナー、クローズマウス、ドームヘッド、オリジナルボディ、素敵な赤いオリジナルドレスの小さなお人形です。

それは、思いがけない一本の電話からだった・・・「私の友人が古い人形を持っているの。興味があれば見に来ませんか?」・・・もちろん興味はあったが、そこは私の所から遠くて今すぐは行けない。彼女は特別な人形だと言ったが、本当のところは見てみなければ解らない。どうしようか・・・

「申し訳ありませんが、出来ればお写真を送って下さいますか?」「あ~、でも友人は写真を撮って送る事が出来ないと思います。どうしても必要でしたら私が代わりに撮ってみますが・・・」と、情けない返事。「いつでも良いです。待っていますので宜しくお願いしますね。」と、電話を切った。

どのくらい経っただろうか・・・そんなやり取りも忘れかけた頃、彼女から人形の写真が送られてきた。埃だらけで随分汚い感じだったが、蒼い瞳は美しかった。しかし、持ち主本人と話が出来ない上に、汚い顔の写真一枚しか手がかりは無い。実物を見なければ・・・でも、お互いの中間地域でのランデブーも断られ、こちらへ来て欲しいとの一点張りで困ったものだ。そんなやり取りが何度か続き時間だけが過ぎて行った・・・写真の中の人形の目は私をしっかり見ていた。

そして一年が過ぎ二年目の春、私はその人形に会う為に飛行機に乗ったのだった。

彼女の話から人形の持ち主は、そうとう偏屈か、人間不信なのか、私はちょっとドキドキしていた。どんな話をすれば良いのだろう?挨拶もしてくれなかったらどうしよう?などと、心が落ち着かなかった。

そんな不安げな私を彼女は、あるバーに連れて行ってくれた。入り口には大きなミッシャーの絵が掛かっていて20世紀初頭の雰囲気が漂う、レトロでちょっと素敵な空間だった。そして、その友人に会わせてくれたが、なんと私がバーと思った場所は、その友人の家で、これは全て彼のコレクションであると説明を受けて、ちょっとビックリした。本格的なバーの作りもそうだが、私はてっきり人形のコレクターかと思っていたからだ。

「アンシャンテ・・・」静かに挨拶をする彼は、アートやアンティークについて沢山の知識があり、自分の趣味のコレクション以外にも色々収集していた。その中に人形もある、ということだった。彼の人形は、彼が随分昔に入手した時のままで一切手を加えていない分、思いっきり汚れていて、顔は真っ黒、服はボロボロ^^: でも、人形の目は輝いていた。そう、私はこの光に導かれ此処までやってきたのだ!

人形を抱く私に、彼は優しく言った。『・・・僕の喜びは、どこかに眠っている素晴らしい物たちを探し出す事です。そして、受け継いでくれる人と巡り会う事。今日はあなたと会えて、とても嬉しいです。あなたに僕の人形を譲りましょう。ずーと、来てくれるのを待っていたんですよ。』